平成21年12月定例会
野村まこと(眞実)の一般質問と答弁の全文です。
前文
野村まこと(眞実) 激動の年の本年最後の定例会でございます。一つ一つについてしっかりと質問を組み立てて用意してまいりましたので,執行部におかれましても,市民が主役とのもとで,また,本年9月からインターネットでライブ中継がされております。今,話している様子が映し出されているわけでありますけれども,「元気都市・水戸」を表明している加藤市長のもとでの答弁を聞いている市民の方から,どうも執行部の答弁は何か元気が足りないという声もいただいておりますので,答弁におかれましてはその辺も考慮して,市民の立場でお願いをしたいと思います。質問
野村まこと(眞実) ◆17番(野村眞実君) 私は葵政友会の野村眞実でございます。平成21年第4回定例会に当たりまして,ただいまから一般質問を行います。最初は,男女平等参画施策の推進についての質問でございます。
私が,男女平等参画社会の推進について,本会議で最初に質問したのは,平成9年の3月定例会で,当時の政友会の代表質問で,男女混合名簿の導入に伴う教育現場での対応のあり方についてでありました。以来,平成12年6月に女性センターの機能強化策,平成13年9月,12月,平成14年3月,12月,平成15年3月,6月,平成16年3月,平成19年9月,平成20年3月,本年6月と繰り返し関連する質問を行い,その中で幾つかの提案もさせていただきました。
平成13年9月に日本女性会議2001みとを開催することとなり,市民との協働で3月の議会に議員提案し,全会一致で可決した水戸市男女平等参画基本条例の施行日を,女性会議の最終日の9月28日に合わせ,全国から参加された3,300名の参加者の方々とシンポジウムや分科会と実りある日程を終え,実行副委員長の黒澤さん,西連寺さん,小口さんの音頭で声高らかに水戸宣言文の朗読を行ったのでありました。
条例の制定の発起人である田山知賀子,波多昭治,岩清水昌子の元議員,今は亡き小圷和男元議長,田口文明議員とともに超党派で勉強会を立ち上げ,市民の方々とともに条例の制定に奮闘していたころのことが今でも鮮明にまぶたに浮かび,御協力いただいた先輩諸兄の熱い思いもよみがえってくるのであります。後に,条例の内容についての批判的な意見も一部で耳にすることもありますが,9年を経た今でも水戸市の条例は全国に誇れるものとの識者からの評価をいただいており,私も自信を持って条例に基づく施策の推進をしていくべきだと思う一人であります。
また,施策の担当である男女平等参画推進課を初めとした施行部が取り組んでいることについても,市民参加による附属機関である水戸市男女平等参画推進委員会との連携のもとで取り組んでおられることについても一定の評価をしているところであります。
政権交代が行われた民主党を中心とする連立新政権においても,福島瑞穂内閣府特命担当大臣が任命され,各大臣が構成メンバーに入り,平野内閣官房長官を議長とする会議が自由民主党政権時と同様に設置されていることを見ても,引き続いての施策の推進が重要であることのあらわれと判断するところであります。
来年度は2001みと開催後10年となる2011年の前年に当たるわけですが,この際,これまでの施策を検証し,10周年に向け,さらなる推進へ向けた動きを開始していくべきときと考え,点検の意味で何点かの質問をさせていただきます。
庁内には関係各課で構成する連絡会議と各担当職員で構成する研究会が設置されていて,適宜開催され,施策の推進がなされているわけなので,開催状況とそれらの会議での主な論議の内容をお尋ねいたします。
2点目は,水戸市男女平等参画基本条例第2章第9条の定めにより策定された基本計画からなる前期実施計画に基づき各種施策が推進されていて,第10条ではその実施状況を毎年市民及び事業者に周知することとなっているわけで,施策の概要がホームページで公表されております。PDFを開き,9ページの指標目標までページを送らないとわからないというのが実情です。以前質問の中で指摘してからすぐにホームページに掲載された努力は認めますが,周知という観点ではいささか疑問で,進行管理体制と市民への公表という点では,わかりづらく不十分と考えますが,御見解をお伺いいたします。
各審議会等への女性の登用など,前期実施計画に掲げた数値目標のうちの未達成のものと,それについての見解をお伺いいたします。
ヒューマンライフシンポジウムは確か第1回が澤地久枝さんで,以来私も時間が許す限り参加をさせていただいており,NPO法人化されたM・I・T・Oの企画運営により,NHK大河ドラマの「篤姫」の脚本家である田渕久美子さんと歴史家の磯田道史さんを招いた今年の企画は大変好評であり,楽しませていただきましたが,男女平等というよりは生涯学習の視点が強いように思えたのでもありました。
そこで,来年度の2010の企画に当たっては,プレ事業として位置づけて,開催の意義を踏まえてのさらなる充実を図るべきと考えますが,執行部の御見解をお伺いいたします。
過日,水戸市男女平等参画推進委員会からの後期実施計画案の答申を受け,その際,附帯意見がつけられたことが報道されましたが,答申についての見解と附帯意見についての今後の対応をお伺いいたします。
答弁
◎市長公室長(田尻充君) 野村議員の一般質問のうち,男女平等参画施策の推進に関する御質問にお答えいたします。本市におきましては,平成13年に日本女性会議を開催し,平成16年に,平成26年度までの11年間を計画期間とする男女平等参画推進基本計画を策定するなど,男女平等参画社会の実現に向けまして,さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。本年は,平成22年度から26年度を計画期間とする後期実施計画の策定の年に当たり,民間人で組織する男女平等参画推進委員会,庁内関係課長で構成する連絡会議などで協議を重ね,年度内策定に向け作業を進めているところでございます。なお,庁内組織の一つでございます男女平等参画推進研究会は,基本計画策定後には開催に至っておりません。
実施計画の進行管理体制と市民への公表につきましては,毎年作成する「男女平等参画施策の概要」で進捗状況を精査し,ホームページに掲載し広く市民への周知に努めておりますが,今後ともわかりやすい情報提供に努めてまいりたいと考えております。
次に,前期実施計画の評価でございますが,平成20年度における全施策の評価につきましては,272事業中,進捗したというA評価が82事業でございまして全体の30%となっておりますが,現状維持のB評価が,66%にとどまっている状況から,今後とも推進に努めてまいりたいと考えております。
次にヒューマンライフシンポジウムについてでございますが,平成4年度から,男性と女性が平等な機会に恵まれ,あらゆる分野に参画できる社会の実現を目指すことを目的に実施し,平成15年度からは,団体の育成支援を図るために,企画運営を市民団体に委託し開催しております。来年は,日本女性会議2001みとを開催して9年目の年になることから,プレ事業と位置づけまして,市民団体と協働により,2011年の節目の年を迎えるにふさわしい内容を目指してまいります。
また,後期実施計画(案)の策定に当たりまして,男女平等推進委員会から出されました答申におきまして,附帯意見が示されておりますことから,その意見を尊重し,各種施策を推進する中で,関係各課とより一層の連携を図り,計画に反映させてまいります。
質問
野村まこと(眞実) 次は,子育て支援施策のさらなる推進策についてという通告をいたしました。少子対策については,後手に回った国が,迫りくる実情に一矢報いようと,平成15年にそれ までの児童福祉法を改正し,次世代育成支援対策推進法と少子化社会対策基本法を新たに制定し,地方自治体の責務を定めたのでありました。
水戸市の子育て支援施策の核となるはずの基幹的な子育て支援センターについて,私は平成14年12月の定例会でその必要性を訴え,岡田市政での小川保健福祉部長より第5次総合計画に位置づけたいとの答弁を得て,その後,5水総の素案に位置づけられたのであります。
加藤市政になっての6月の定例会で,私は再び行動計画策定と子育て支援センターの早期設置を訴え,加藤市長より地域子育て支援センターの拡充と,中核的な役割を担う基幹的子育て支援センターの位置づけをも含めた地域全体での子育て支援基盤の形成に積極的に努めたいとの力強い答弁をいただいたのであります。
その後,水戸市では,水戸市少子対策検討委員会を発足し,水戸市次世代育成支援対策行動計画を策定,3か年実施計画に基づく学童クラブや開放学級等の放課後児童健全育成事業や,ファミリーサポートセンター事業,保育ママ,休日・夜間・緊急時の乳幼児の一時保育事業,幼稚園での預かり保育,つどいの広場事業,地域子育て支援センター事業,さらには中核的子育て支援事業等の各種施策を推進していることは一定の評価をしております。
そこで,1点目の質問ですが,行動計画に基づく具体的施策のうち,実施に向け検討中と未実施のものがありますが,それらを明らかにしていただき,それについての考察と対応策の見解をお伺いいたします。
次の質問は,好評の中心市街地の子育て支援・多世代交流センター「わんぱーく・みと」の位置づけと今後の課題に関する質問です。
「わんぱーく・みと」は,市外からの利用も可能としたため,平成20年度開設からの登録者が1万9,299人,平成20年度の利用者が5万3,861人と,当初見込みを大幅に上回る利用状況にあり,現場を担当されるスタッフの日々の御苦労を考えると頭が下がる思いであります。そもそもこの施設を営林署跡の土地開発公社の塩漬けの土地に位置づけることについては,当時の文教福祉委員会でも−−袴塚議長もおりました−−立地や多額の費用の点で異論が続出したのでありましたが,中核的子育て支援センターとして位置づけ,市内の保育所等で行っている地域子育て支援センター等の各種子育て施策のコントロールタワーとしての機能を担うための重要な施設との答弁を確認し,委員会で了承したという経緯があるのです。
このことにつきましては,加藤市長が,子育て支援センターの設置に当たって,平成19年2月22日の定例の記者会見の中で取り上げております。中核的子育て支援の拠点ということで,本市における子育て支援施策として,地域子育て支援センターや保健センター,教育委員会等においてさまざまな取り組みがなされていたが,それらの情報の一元的な管理や利用者への提供,また運営内容に対する助言,指導の必要性が求められていたと。そのため新たな施設は本市における子育て支援のコントロールタワーとしての中核的拠点施設としての役割を担うものとした云々とございます。そして,子育て支援の全国の事例集にも,水戸市の取り組みが3枚のカラーで掲載されておりまして,コントロールタワーとして,全市で行っている子育て支援施策を推進している非常に新しい取り組みだという評価をされているところであります。
そこで,当初計画での位置づけと実際の利用状況にあわせて,今後の課題をどのように考えておられるのか,見解を伺うところであります。
また,本定例会には,下市の本町に新たに子育て支援・多世代交流施設を設置するための基本設計の補正予算687万円が提案されており,平成22年度,実施設計と工事を着工し,平成23年度の早いうちに開所予定とのことです。突然の計画発表ではありますが,厳しい環境の中で頑張っておられる下市商店街を初めとした地元の方々からの活性化の要望に寄与する施設になるとのことなので,理解し期待するところではあります。
しかしながら,地域における子育て支援施策は道半ばであり,地域子育て支援センターの機能の充実とさらなる増設が求められている中で,当初1カ所であった中核的センターの計画を2カ所とするからには,例えば常磐線を挟んで市内のエリアを分けて,2カ所のセンターを核として諸施策の推進を図る形でコントロール機能を充実するのでなければ意味がなく,改めて水戸市全体を踏まえた上での構想をお伺いせざるを得ないのでありますが,明快な答弁をお願いいたします。
11月1日現在349人という,相変わらず解消されない水戸市の待機児童の実情でありますが,ただでさえ厳しい社会経済情勢の中で,子育てをしながら働く必要に迫られて,保育を必要としている親御さんがふえている実情は,可及的速やかに解決すべき,水戸市の責務であると言っても過言ではなく,2キロメートルが妥当かはともかくとして,適正配置の観点でのある程度の規制は残した上で,新設の保育所の開設促進が必要なことは自明の理であります。そのような中で,水戸市の今の対応は理解に苦しむところでもあります。
認可外とはいえ,内容の充実した保育を行っている保育施設は結構あり,中には1年も前から新設に向けて市に相談に来ているとの話も聞いておりますが,そのような意欲的で実績のある認可外保育施設の活用や,支援等による一時的な保育の拡充,さらには既存の空き施設を活用した臨時保育施設の開設などなど,もはや抜本的な対策に取り組むべき時期に来ていると考えるわけですが,御見解をお伺いいたします。
答弁
◎保健福祉部長(清水孝子君) 野村議員の一般質問のうち,子育て支援施策のさらなる推進策についてお答えいたします。まず,次世代育成支援対策行動計画前期実施計画に位置づけた事業のうち,検討中または未実施のものの考察と見解についてでございますが,平成20年度末における事業の実施率は97%となっており,計画全体ではおおむね順調に進捗しておりますが,保育サービス評価事業の導入や,子育て世帯へのバリアフリー情報の提供,青少年交流施設の整備など,検討中や未実施のものもございます。
今年度が前期実施計画の最終年度となり,現在,平成22年度から平成26年度までを計画期間とする後期実施計画の策定を進めていることから,これらを含むすべての事業について評価を行い,引き続き計画に位置づけるもの,また,内容の見直しを行うものなどを精査し,今後とも多様化する市民ニーズにこたえてまいりたいと考えております。
次に,「わんぱーく・みと」における当初計画での位置づけと利用状況,今後の課題についてお答えいたします。
「わんぱーく・みと」につきましては,親と子の遊び場の提供や,子育て情報の発信,育児相談,さらに保育所等で実施している地域子育て支援拠点事業と連携を図るなど,本市における子育て支援の中核的な拠点として位置づけております。利用状況につきましては,11月末現在で,登録者数2万2,818人,開設以来の延べ利用者数13万5,604人,一時預かり保育人数,延べ3,180人となっております。
今後の課題といたしまして,増加する一時預かり保育などの保育ニーズへの対応や,高齢者が気軽に立ち寄れるスペースの確保などが求められているところでございます。
次に,新たな子育て支援・多世代交流施設の構想についてでございますが,「わんぱーく・みと」における課題を踏まえた上で,「わんぱーく・みと」に集中している子育て支援等のサービスを分散し,利用者の増大による量的市民ニーズへの対応を図るとともに,「わんぱーく・みと」との連携により地域における子育て支援施設や高齢者福祉施設等とのネットワーク化を図る子育て支援・多世代交流拠点施設として整備を行うものでございます。
次に,保育所待機児童対策についてお答えいたします。
本市におきましては,これまで,年次的な保育所の創設や増改築などにより定員増に努めてまいりましたが,経済の悪化や雇用の不安定により就労を希望する女性がふえ,なお多くの待機児童が発生している状況でございます。今年度における待機児童の解消に向けた対応といたしましては,臨時保育士を雇用し,受け入れ児童数の増加を図ったほか,民間保育所につきまして,創設1カ所及び移転増改築1カ所の整備に向けた手続を開始したところであります。
さらに,低年齢児対策として家庭的保育事業,いわゆる保育ママにつきましても,平成22年度からの実施を計画しているところでございます。
いずれにいたしましても,今後とも計画的かつ的確に施設整備を進めるとともに,早急なる待機児童解消に向け,庁内にワーキンググループを設置し検討を進めてまいります。
質問
野村まこと(眞実) 次は,事業仕分けの影響と見解についての質問であります。国の借金が,生まれたばかりの赤ちゃんから入院中の高齢者に至るすべての国民1人当た り約676万円もあるという危機的財政状況の中で誕生した鳩山新政権において,積極果敢に行われている事業仕分け作業の経過が報道されており,年内に見直し結果が確定される予定であります。それによって水戸市の業務に影響が出ることは必至であり,やむを得ないものと理解し,執行部において迅速な対応を期待するところであります。
通告は,第1点,水戸市の施策や事業への影響をどのように考察しているか。第2点,事業の中止,休止,単独の予算により継続するなどの対応が必要となってくるが,明年度の予算編成へ向けて今後の対応はどうされるのかでございましたが,既に本定例会で五十嵐議員,村田議員,飯田議員,須田議員の代表質問に答弁されておりますので,時間の関係で1,2は割愛させていただき,3点目の水戸市での事業仕分けの導入のみについて質問をいたします。
現政権による事業仕分けですが,作業の経過の内容によっては,一部批判もあるものの,その方向性については国民に一定の理解を得られており,必要なことと考えるところであります。
地方自治体での導入は,2005年から4年間事業仕分けを実施し,20億円以上の効果を上げている滋賀県の高島市や,2006年度から毎年実施している岡山市のほか,岩手県,千葉県などの先進例がございます。
水戸市では,平成14年度から庁内組織である行政改革推進本部において事務事業評価を行い,さらには平成16年度から茨城大学の佐川教授を委員長とする外部委員からなる行政評価委員会により50万円以上の事務事業を評価してきて評価の方向性に沿った改善を行いつつあり,それなりの効果を上げていることは評価するところですが,それでも厳しい財政状況を考えるとき,改めて思い切った事業仕分けを行ってみるべきと考えますが,見解をお伺いいたします。
また,導入できないということであれば,せめて平成20年9月で任期満了となっている行政評価委員の,先ほどの佐川教授を初めとする委員の方々に,再度評価結果に基づく改善計画を立てていただき,その進行管理も行ってもらい,実効性のある改善に結びつけるべきと考えるところでありますが,御見解を伺います。
佐川先生たちがおつくりになった当時の資料を拝見させていただいて,これは大変よくできております。あれをそのまま執行部が受け取って,行革推進委員会の中で進行管理をしていくよりは,さらにつくられた方々に統合したり別の部門に移したりという動きがあった後,どうなっているかというところまで突き詰めて評価してもらう必要があるんじゃないかと思い,そのような提案をさせていただいたところであります。
答弁
◎総務部長(鈴木重之君) 野村議員の一般質問のうち,本市でも事業仕分けを取り入れるべきとの御質問についてお答えいたします。 「元気都市・水戸」の実現に向けては,行財政改革を進め,行財政運営の効率化を図るとともに限られた財源を有効に活用し,自主・自立の行財政基盤を確立する必要があります。そのためには,時代の変化に応じた事務事業の見直しを進めていく必要があると考えております。本市においては,平成16年度から事務事業について,必要性,有効性及び効率性の視点により評価を行い,客観性と透明性を確保するため,外部の有識者を委員とする行政評価委員会による外部評価を取り入れた行政評価を実施し,事務事業の改善を進めてきたところであります。平成20年度までの5年間で評価が一巡したことから,現在,評価手法の見直しを進めているところであります。
今後も,市民の視点に立った行政運営を進めるため,客観性や透明性に配慮し,外部の評価や意見を取り入れながら,改革,改善を継続することが大切であることから,評価手法の見直しに当たっては,事業仕分けを含め十分に検討してまいります。
質問
野村まこと(眞実) 茨城県では,監査委員の独自調査により,2006年,2007年度の2年間で不正経理3,142万円を発見したことを10月5日に発表いたしました。また,翌11月11日には会計検査院が国土交通省と農林水産省の補助事業のうち,2002年度から2007年度までの6年間で2億4,352万円の不適正な経理処理による支出があり,1億1,407万円の返還を求めると発表いたしました。それを受けた茨城県は,11月20日に,管理職1,165人と退職した課長以上の役職者681人に,総額で5,167万3,000円の返還を求めることとなったと発表し,報道がありました。本当に驚かされ,感慨深いものであります。そこで,県では,会計検査院の公表の前に,監査委員が取引業者の帳簿と具体的納品状況等を照合するなど監査手法を見直した調査を行い,改善策を講じるよう求めていたとのことでありますが,県にならい,水戸市でも監査手法を県同様に見直すなどの方策をとり,独自に調査すべきと考えますが,御見解をお伺いいたします。
私は,かねてより,水戸市に制度としてありながら,一度も活用していない個別外部監査制度を段階的に活用するよう申し上げてまいりました。事業仕分けや預け,一括支払い,差しかえ,翌年度納入等々の不適正な会計処理が起きない,簡素で効率的な行政運営のためにも有効な手段と考え,改めて個別外部監査制度の活用を求めますが,見解をお伺いいたします。
過日,水戸市にも会計検査院の抜き打ち的な調査がありました。調査の結果は会計検査院よりいまだ明らかにされていないとのことですが,私もたまたま議会のほうに参りまして,全員協議会室に物すごい数の書類が全部並んで,片側を出入りできないようにしながら監査を受けている状況を見て驚かされたのでありますが,私は茨城県と違い,水戸市の場合は,議会と執行部の間で適度な緊張関係が存在しているということを見ても不正は存在していないと信じておるところでありますが,目的外の支出ぐらいはこれは当然指摘されてもおかしくないというふうに思うのであります。今後もし不適切との指摘があった場合の対応はどのようにされるのか,見解をお伺いいたします。
答弁
◎監査委員(田所良二君) 野村議員の一般質問のうち,適正な経理の執行についての監査 手法の見直しによる独自の調査等についてお答えをいたします。本市の監査につきましては,全国の市の監査委員で組織された全国都市監査委員会において作成した都市監査基準準則を指針として,事実と相違した支出や違法不当な支出の有無など,財務事務の執行に関する監査を毎年度,全部局を対象に実施しているところでございます。
また,今回,会計検査院による国庫補助事業の事務費等に係る検査が行われましたが,その結果につきましては公表されておりませんが,引き続き,適正かつ公正な行財政運営に資するため,監査委員の協議により,現行の監査制度の中で実施でき得る監査手続を活用しながら,厳正な監査の執行に努めてまいります。 ◎総務部長(鈴木重之君) 次に,適正な経理の執行についての御質問のうち,個別外部監査制度の活用についてお答えいたします。
今回の会計検査の結果につきましては,まだ会計検査院から公表されておりませんが,公金の取り扱いにつきましては,関係法令等にのっとって適切に処理されることが必要であることから,契約事務や財務事務についての職員研修を行っているところであり,予算の執行については,適正に行われているものと考えております。
個別外部監査制度の実施につきましては,専門的な視点からの監査が必要と認められる場合には,取り組んでまいりたいと考えております。
また,会計検査院から指摘があった場合の対応につきましては,適正に対処してまいります。
質問
野村まこと(眞実) 最後は,生涯学習のさらなる推進策についての質問であります。社会教育施設である水戸市の財産とも言える公民館が,公の施設である市民センターとして来年4月には統一されることになりましたが,これまでの実態を知るだけに,結果として,地域における生涯学習の後退を私は懸念したところであります。
そんな中で水戸市新生涯学習推進基本計画が明らかにされたため,その中身を熟読させていただきました。
第1章,計画の概要の中に,平成15年3月の水戸市社会教育委員会議の建議「成人の学習活動の推進方策について」や,私たちみずからがかかわった平成16年5月のみと好文カレッジ運営審議会の答申「みと好文カレッジのあり方について」を十分尊重しながら,本市の生涯学習のより一層の振興に向け,新たな計画を策定するとあり,安心したところであります。
第2章,計画の基本的な考え方では,生涯学習の意義,役割の中で,昭和56年,平成4年,平成11年,平成20年の中央教育審議会の答申と平成20年の社会教育法の改正の趣旨もしっかりあり,さらには第3章,計画の目標と基本施策の具体的施策の中で,市民センターにおいては,地域の生涯学習の拠点として個人の要望する学習と社会の要請に応じた現代的課題を取り扱った学習のバランスを保ちながら,みと弘道館大学として位置づけ,学習機会を提供すると定めてあり,また,学習成果の評価の実績として,市民センターにおける施設の運営や事業の目標,妥当性等の評価や事業を行った後の検証等を行い,計画,実行,評価,改善の流れが有効に機能するよう評価方法を策定するとあり,さらには,みと好文カレッジ機能の充実の中に,みと弘道館大学院の開設に加え,市民センターにおける社会教育事業に対する指導,支援があり,第4章,事業計画の中で,実施年度の記載につき具体的施策の一覧があるという充実した内容であり,行政出前講座の開設だったり,あるいは市民センターの自己評価などの−−一部若干異論を申し上げたくなるところもありますが,高く評価できるものと考えております。
そこで,水戸市新生涯学習推進基本計画の進行管理は,みと好文カレッジ推進本部が行うとありますが,この組織は市長を本部長とする現存の庁内組織であります。市長が忙し過ぎて機動性に欠けるため,開催回数が少なくなりかねないわけで,余り機能しづらいんではないかと言っても過言じゃないと思われますが,現在の好文カレッジ推進本部の実績,実情に加え,推進体制についての見解をお伺いいたします。
また,機動性があるはずの関係各課長による庁内組織の生涯学習推進幹事会がありますが,こちらの開催状況を含めた推進体制についても御見解をお伺いいたします。
社会教育委員やみと好文カレッジ運営審議会委員の意見を活用して,施策の推進や進行管理の見直しの際には意見を取り入れることにしているとのことですが,私は,せっかく充実した内容で,よくできている今回の計画だけに,進行管理そのものを,社会教育委員やあるいはみと好文カレッジ運営審議会委員,さらには教育委員会議に諮るような仕組みにすべきではと考えますが,あわせて施策の評価システムの確立方法についても,御見解をお伺いいたします。
時間の関係で,再度の質問に多分登壇できないと思いますので,これだけの計画を実行する,これを本当に具現化するとしたら,かなりのスタッフと予算が必要になってくると思われるわけですが,必要十分な予算を要求しているのか,要求しようとされているのか,お伺いしまして,また要求しているとすれば,しっかりとした予算を何とか捻出をしていただくよう強く求めまして,第1回目の質問を終わります。
ありがとうございました。
答弁
◎教育次長(内田秀泰君) 野村議員の一般質問のうち,生涯学習のさらなる推進策についてお答えいたします。初めに,御質問のみと好文カレッジ推進本部につきましては,本年9月に水戸市補助機関に関する規程の一部を改正し,水戸市生涯学習推進本部と名称を変更いたしました。
生涯学習推進本部につきましては,市長を本部長とし,副本部長には副市長,委員は教育長を初め関係部長で構成しており,平成13年7月に開催し,このたびの新生涯学習推進基本計画の策定時に至っております。今後は,新生涯学習推進基本計画の着実な推進に向け具体的施策の進行管理を行い,各施策の成果や課題を踏まえ,計画の見直しにも努めてまいります。また,生涯学習の推進体制につきましては,みと好文カレッジの体制の充実とみと弘道館大学院や社会教育主事講習などに係る予算を要求しているところでございます。
次に,生涯学習推進幹事会につきましては,教育長を部会長とし,関係課長で構成しており,新生涯学習推進基本計画を策定する際に3回ほど開催しております。今後は,生涯学習に関する情報の共有化や関連施策の調整を図るなど,関係課による緊密な連携,協力体制づくりを推進するため,生涯学習推進幹事会の機能を生かしてまいります。
新生涯学習推進基本計画は,本年度から平成26年度までを計画期間とし,年次計画により具体的施策を実施してまいりますが,必要に応じて見直しを行っていくこととしており,実施した事業の評価,検証が重要になります。事業の進行管理は,生涯学習推進本部において行うことになりますが,それとあわせて社会教育委員会議,みと好文カレッジ運営審議会において,それぞれの委員の専門性を生かし,客観的な事業評価を行うシステムを構築してまいります。教育委員会会議においては,毎年度,実施した事業を報告し検証しており,また,教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価では,第三者による評価を行っております。これら評価を含めた進行管理を行うことで,計画,実行,評価,改善の流れを有効に機能させながら事業の推進に努め,基本理念に掲げた「生涯学習の成果を生かした活力あるまちづくり「学ぶ」「活かす」「つなぐ」」の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
来年度から市民センターを生涯学習活動の拠点と地域コミュニティ活動の拠点として位置づけてまいりますが,地域の生涯学習の振興を目指して,新生涯学習推進基本計画に基づき,学習機会の提供と市民の学習活動の支援に取り組み,さらなる学習活動の推進に努めてまいります。 ◆17番(野村眞実君) それぞれ担当の部長さんより,あるいは教育次長より答弁をいただきました。
再質問はしないと言いましたので,再質問ではなくて要望だけをさせていただきたいと思います。
それぞれ答弁をいただいて,ネットワーク化を図るとか説明はありながら,御答弁いただいているその責任者の方にその概念がどう描けているのかということをちょっと疑問に感じるところであります。と申しますのは,例えば,地域子育て支援センターが言葉だけでひとり歩きしていて,市内には13カ所あって,市立の保育所もあれば,民間保育所に委託しているといいますか,予算をつけて−−そこに通ってきている園児のための相談業務じゃなくて,その地区全体を網羅しているということでありますから,つまり高齢者の一時民間に委託していた在宅介護支援センターと同じような形で,だれでも利用できる形で事業化されているわけなのですが,水戸市少子対策・子育て支援総合ガイドブックの中を見ても,いろいろな刷り物を見ても,具体的に地域子育て支援センターなるものの位置づけ,相談をいつ,どうすればやっていただけるかということは明確に記載していないのが実情で,やはり「わんぱーく・みと」である中核的子育て支援センターと実際にしっかりとリンクができている状況にはないというふうに思われるわけであります。
子ども課の課長さんが2代続けて体調を壊されるという,本当にストレスが多い,待機児童が多くて市民からの苦情も非常に多いし,そういう閉塞状態の中で,一番大事な少子対策につながる部門でありますから,そういう点ではぜひ手厚い人的な配置も行った上で,「わんぱーく・みと」がもし中核的な子育て支援機能を果たすということであれば,子ども課と機能が分散される分だけ,人もたくさん持たなくちゃならないはずなんで,その辺の施策の拡充にあわせて,人的な配置,予算的なもの,こういうものをしっかりとバックアップをとってもらうよう求めておきたいと思います。
また,新生涯学習推進基本計画,これも水戸市にとって本当に必要な計画であります。これまで地域コミュニティにゆだねるという状況でありましたけれども,もう一歩,地域コミュニティが本当に自立して活動できるようにしていくための大きな方策であり,まさに市民力を高める地方自治,市民自治の自治力を高めることにもつながる大きなテーマであります。ひいては学校教育にもつながる問題なので,この問題も全庁的な対応でしっかりと検証しながら進めていっていただくよう,予算的,人的配置を求めて,要望として終わりたいと思います。
ありがとうございました。